[記事]                            
1.65歳までの継続雇用確保制度 

                 

 65歳までの延長に伴い、企業での65歳までの再雇用が制度化されてきま
した。そして、今年の4月1日からは改正高年齢者雇用安定確保法施行に伴い、
希望者全員の再雇用が企業に義務づけされました。            

 65歳までの継続雇用確保措置では、定年制の廃止、定年延長、継続雇用の
3つの方向性が選択肢としてあり、8割以上の企業が継続雇用の道を選んでい
ます。最近になり一部の大手企業が65歳定年延長に変更し話題を呼んではい
ますが少数です。継続雇用には、再雇用と雇用延長があります。中心となって
いるのは再雇用で、60歳の定年を迎えた後いったん退職し、新たに年度更新
の再雇用契約を結ぶ方式です。雇用延長とは定年は迎えますがそのまま同様の
仕事を同様の条件などで継続していことを主としています。中心の再雇用では
定年時で退職金は処理され、仕事の内容も条件も新たに会社が提案するものと
なります。


2.再雇用は制度であって、個別の従業員の雇用を保証するものではない。

 

 厚生労働省の進める65歳までの雇用確保措置は、あくまでも個別の従業員
の雇用を保証するものではありません。制度の設置の義務づけです。一番重要
なことは、年度更新の有期契約制になること。会社の提案する業務内容は会社
が必要とするものに限定できること。会社の提案する労働条件・就労条件は従
来のものと変わっても構わず、法律に違反していない限り特別の規制はないこ
とがあります。

 具体的には、企業によっては、「歩合給の営業職しか再雇用の仕事はない」
としているところもあります。時間給1000円のパートの条件で、週2回勤
務という条件もあります。営業の仕事はできない、歩合給では嫌だ、週2日の
パートでは食べられないなどと思う人は再雇用を希望しないでしょう。会社側
にとって、「希望者全員の再雇用が負担な場合」は、従業員が希望しないよう
な条件を出せば良いのです。60歳から新たな仕事を探す必要性はあるのです。


3.65歳からの仕事はほぼないのが現実

 求人広告を見てください。特にシニアの求人があるパートなどのチラシ募集
媒体やハローワークの求人条件を見てください。定年60歳、再雇用定年65
歳のため応募者は64歳までなどと書いてある場合があります。多くの場合6
5歳で雇用の道は閉ざされがちです。


4.年金支給の更なる延長もありうる

 年金支給は65歳にとどまらず、67歳、70歳へと確実に延長されます。
厚生労働省は前政権でも一度67歳もしくは68歳延長を提案し世論の反発で
いったん引っ込めました。しかし、年金財政は極めて逼迫しているのは事実で
す。

 年金財政を維持するには、年金収入を増やすために年金支払額を増やすか、
年金支出を抑えるために年金支給額を減らすか、年金支給年齢を遅らせるかの
方法になります。年金財政の悪化は超少子化を背景としているだけに支える現
役世代が少なく支えられる高齢者が増える時代では、年金収入を増やすことは
至難です。すでに1人負担の年金支払額は増加してきているのですから。また
年金支給額を減らすことは生活が成り立たなくなる恐れもあります。国民年金
は満額でも年間70万円台しか出ないのです。生活保護費より低いのです。そ
のためどうしても最後の年金支給年齢を遅らせ、年金をもらう側から支える側
に回ってもらおうという考えです。この方向に向かうのは確実です。


5.雇用の受け皿となる企業経営は?

 問題なのは更なる雇用延長を企業が可能なのかということです。それだけの
成長性や持続性を現在の日本の企業は持っているのかということです。不況に
より人員削減をしている製造業などの現状を見ると高年齢者の雇用継続どころ
ではないでしょう。現役世代の雇用確保さえ厳しく、パナソニック、シャープ、
ソニー、NECなどの超大手企業が万単位の人員削減を発表しているのですか
ら。


6.ではどうするのか?

 年齢と年金受給との関係から考えてみましょう。60歳からの再雇用で希望
の仕事がない人は再就職か請負や受託の仕事を考える必要性があるでしょう。
年齢によっては早めに年金受給を始められる人もいます。年金併用であれば仕
事の負担が軽くなり、仕事の選択も広がるでしょう。年金受給がないならばあ
る程度の収入のある再就職か独立起業を目指すことになるでしょう。
 65歳以上であれば年金併用になります。一般的には子供の教育費の負担も
住宅ローンの負担もない年代と言えるでしょう。収入が少なくとも、やりがい
や生きがいを主として仕事の選択が可能な年代です。


キャリアコンサルタント 上田信一郎