「就職・転職の悩みと相談」非正規雇用からの脱出方法は?(6)
            ー手に職をつけるー

 私が講師をやっていたものに、厚生労働省の公的職業訓練の企画で基金訓練講座という民間教育機関委託の職業訓練講座がありました。雇用保険が適用されない人、雇用保険適用期間が過ぎてしまった人などを対象にした、無料の雇用促進を目的としたものです。制度は現在でも残っていると思いますが政策上の理由であまり開催されていないと思いますが。対象は現在退職したりして無職求職中の人たちです。
 これらの講座のキャリアプランに関する部分を担当していました。各講座は営業、人事、事務などの職種別にコースが設けられていました。就職に直結させる目的からです。その中に経理コースがありました。

 経理を目指す人たちの多くは、非正規雇用で事務系・販売系の女性や営業系・軽作業系の男性などです。ほとんどは経理の実務経験がない人たちですが、一部には多少の実務経験もある人もいました。非正規雇用の形態では人材派遣が多いと思います。
 人材派遣をいくらやっていても派遣先企業はほとんどは正社員雇用にする考えはありません。事務でも販売でも、より高度なキャリアアップにつながる研修も行われませんし専門性を培う仕事も与えられません。若いうちはうちは良くても年齢が経つにつれ不安感が増し、何とかしなければと思うのが実状です。受講者の多くは20代後半から30代、一部にそれ以上のミドルの人が来られていました。

 事務系の手に職をつける分野では前回紹介したパソコン・IT分野がありますが、技術性がともなうものとしてこの経理があります。経理は資格では日商簿記検定2級が経理職に就くためには有力です。しかし、問題点もあります。

 問題点の第1は、年齢です。
 未経験だとどうしても企業は年齢を気にします。若ければ多少育てるのもやむをえないが、年齢がいっていて中途採用すると、より若い経験のある人との部署内の関係がうまくいかないのではとの考えなどです。また一般的に資格は有っても未経験ですと30代以降の人の採用は難しくなります。
 第2には、上記に関わる実務経験の有無です。
 実務経験があれば資格よりは強いと言って良いでしょう。しかし、この講座の受講者のほとんどは非正規雇用から脱出するために職業能力を身に就けるためにきているわけで実務経験はありません。

 ではこれらの壁を突破するためにはどうしたらよいのでしょうか?
 第1の年齢の壁はありますが、ある程度の規模の企業で、若い経験のある人がいたりするために部署内の関係がうまくいかないという問題があります。そのような問題の少ない小企業へ勤めたらどうでしょうか。小企業でも正社員の希望は明確にしていった上です。小企業の採用は社長自身が面接に立ち会うでしょうし、採用基準が人物本位です。経理系ですと信用のおける人物かどうかです。小企業では社長、経理であれば管理関係の役員との人間関係が重要です。
  私自身も体験しましたが中高年では求人広告で年齢制限はほとんど記載できません。男女でも雇用均等法で性別採用制限は例外を除いて記載できません。しかし実際には採用側の意図があるわけですから年齢が経っている場合は履歴書をだしてもほとんど戻ってきてしまう現象にぶち当たります。しかし、すべての企業がそうなわけではありません。確率は悪くても必ずキーマンとの出会いはあるはずです。自分の志望動機が明確にし熱意が伝わるような応募書類を出し続けることです。

 第2の実務経験ですが、同様に小企業などを対象にすることです。小企業の中でも経理専門の人を専任で置く余裕がないところを対象にすればもっと明確になります。総務と経理を兼務だとか、経理と人事を兼務、経理・総務・人事を管理部門として兼務だとか、オール事務系の仕事を兼務とかいう場合です。この中で経理作業を行っていけば実務経験は身に付きます。派遣でも事務系などの周辺の実務経験があれば可能性は増します。

               キャリアコンサルタント 上田信一郎

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